どんな時も!

2020年5月18日 Kids Encourage 0 Comments

特別保育期間が⻑くなっています。 新型コロナウイルスの感染リスクの減少に向け、在宅で過ごしている子どもたち、そして保護者の皆様、 ご協力ありがとうございます。

保育園では、社会情勢的に仕事を余儀なくされているご家庭のお子さんを対象に、特別保育という枠組みで全クラス合同の保育を続けております。

けして万全とはいえない保育環境の中ですが、乳児担当者、幼児担当者の保育士が通常とは違う中でも、それが子どもにとっては「良い経験」となるように、しっかり保育の予測と準備をし、連携して毎日の生活を送っています。

異年齢とは言っても、近い発達幅の子どもたちにとっては、生活の見通しがもてれば、それはそれで 「いつもとは違う生活、友だち」という世界を楽しんでいる様子です。

私たち保育者は、子どもにとってどんな時間、経験にしていくことができるか?を考えながら保育活動を進めています。

こうした時こそ、保育園が養護、教育の指針としている「環境による保育」を十分に展開することが求められているとも思います。

子どもにとって環境は学習の宝庫だと言われていますが、いろいろな環境を与えさえすれば子どもは自動的に何かを学び吸収するということでもないですね。ある環境に対して、子どもが自動的に関わるとも限りません。

むしろ、子どもが環境に働きかけるというより、環境から働きかけられることによって、行為を誘い出され、興味を誘発されるから遊び、経験し、学びになっていくという関係が生まれるのでしょう。

だとすると、良い保育者は「子どもの興味を誘う魅力的な環境をつくり、子どもが自ら遊びや活動に向かう動機を生み出す」ことに意識を向けられるということになりますか。

環境づくりの1つとして、実は 3 月から園庭の畑でいくつかの野菜の栽培を始めていました。

保育としては、食育という観点も含めて子どもが栽培、収穫、調理という工程を体験することから「命 の育ちと食」ということを感じる体験ができるように。

また、植物の育ちを観察し、触れていくことで何か発見し、「面白いな」「不思議だな」という好奇心、 心が動く体験になるように。

さらに、収穫は「旬」をあらわすことでもありますから、旬の食材に触れ、季節や自然を感じ、知る機会になることで、日常にある「食」に関心が高まることを願って。

さて、栽培している野菜の1つ、さやえんどうが立派に育ち「旬」を迎えました。

本当はみんなで収穫したかったけど、そこは自然物。成⻑は待っていてはくれないので、登園している子どもたちが代表して収穫に勤しみました。

さやえんどうはとても豊作で(いつもきめ細かくお手入れしてくれる先生の思いもあり)、たくさん収穫してもまた次の日にはいっぱい!!という現象! 子どもたちにとってその現象は、毎日の驚きと不思議にあふれていました。

収穫を楽しみながら、子どもたちの気づきや関心ごとは様々です。

さやえんどうをいくつ収穫するか?という量には全くこだわらず、「なぜに太っちょのとやせっちょがこんなに違うのか?」ということに関心を持ち、集中して太ったものを探す子。

葉っぱの裏の方に目立たないけど隠れて実っていることが不思議で、「裏を探す」ことに専念している子。⻑さ、大きさの種類に関心があり、いろいろなサイズを探す子。

目の付け所は実に様々ですが、さやえんどうの観察はみんな真剣そのもので、収穫する表情は笑顔というより、農学博士みたいな表情です。(笑)

現在のような、条件が制限され活動幅が限られた中でも、子どもの成⻑は日々更新されていくことを大人の私たちはしっかり考えて、共に大事な 1 日を過ごしていきたいと思っています。

収穫して持ち帰ったさやえんどうは、お家でいろいろな料理になって食されたようです。

子どもからは、「おみそ汁にいれた!」「卵と焼いた!」「お芋と煮た!」と食したメニューがたくさんでてきました。

きっと、さやえんどうも喜んでいるね!

また、いつもとは違うことに異年齢での幅が大きいなりに、乳児も幼児もよく関わりながら遊ぶ姿が見られています。

生活の時間軸が、担当の大人によって丁寧に見通しができていることで、それぞれにストレスのない生活時間が保障され、遊具、空間が整えられていることで、自然に受け止め合って生活していることが できているのだなと嬉しく思います。

そんな1コマも。

新型コロナウイルス感染拡大も、少しずつ収束はしてきているようです。

まだまだ油断はできませんが、こうした時でも子どもたちの毎日が有意味なものであるように、できる工夫をしながら安全に豊かに過ごしていきたいと思います。

皆様、お疲れの頃だと思いますが、ご自愛しつつ、少しでも充実した毎日をお過ごしください。 早く元気に登園していただけることを職員一同で願っております。

キッズエンカレッジ
園長 日下部 樹江