コロナウイルス感染防止対策で、実施できずにいた毎月第3金曜日に行われるお話し会を久しぶりに行うことができました。
今回はいつも以上に、子どもたちにお話の世界をたっぷりと味わってもらえるよう、保育者が時間をかけて準備、練習して届ける人形劇です。
人形劇に触れることで、幼児期に大切な「ものごとをイメージする力」そして「イメージしたことを表現する意欲」へつながる体験として、お話のユーモアと登場人物それぞれの状況や気持ちに感情移入しながら物語の世界を味わってほしいと、グリム童話「金のがちょう」をモチーフにした脚本づくりからはじめた保育士完全オリジナル版の創作劇です。
創作の過程で、保育者同士も子どもの発達に見合ったストーリー展開や、その演技、演出の仕方など、改めてたくさんの学びがありました。
幼児期の興味・関心、現実の経験と虚構の世界との橋渡し。
「こんなことあるかな?」「あったらどうしよう」というドキドキ感。
「わ~、変なの~」と笑ってしまう出来事の中にある、人間のリアルな体験を根源にもつ登場人物の心理など、どう今の子どもたちに伝えたいか?!と、練習しながらのデイスカッションは繰り返されました。
何よりも、子どもたちにこの人形劇を楽しんでもらうことで、日常のリアルな体験とファンタジーの世界が結びつくことで、子ども自身が新しい想像の世界を創造していくキッカケになってほしいと願っていました。
いよいよ人形劇の当日。
「今日のお話会は、何だかいつもより特別らしい?!」と期待を膨らませる子どもたちに、久しぶりに本格的な人形劇に挑む大人たちがドキドキ!!!
大人の熱演と、試行錯誤して練り上げた物語は、子どもたちをワクワクさせる「虚構=現実」の世界として味わってもらえたようです。
人形劇を観賞した後、子どもたち同士さっそくお話の場面を取り入れての再現遊びを始めました。それぞれに物語の中で注目した登場人物のキャラクター?に扮したり、お話の世界を味わいつつも、自分のイメージを表現し合う姿に、「お話を体験する」ことの意味が大きいことが見て取れます。
それぞれの子どもにより、お話で注目するところは違うかもしれませんが、子どもはそこで体験している虚構の出来事をリアルに受け止めることで、作品の中に入り込み「次は自分がその物語を再現の中で表現しよう!」と、子ども同士のストーリーを創造して遊びにしています。
こうした子どもの反応、様子を見て考えることは、子どもがそのままで「想像力豊かに」日々を生きているとは限らず、想像のきっかけとなる体験があり、イメージを生むことで遊びになり、さらなる想像につながっていくのだということです。
またそれが、実は直接経験していることだけで自由に、豊かになっていくとも限らず、むしろ経験しているからこそ想像や空想の世界は縛られている、ということも多いのです。
むしろ、場合によっては大人以上に日常のリアルにそのまま直接的に規定され、「自由な発想」の芽を出せずにいることは多いのかもしれません。
保育の中での文学体験や様々な活動は、子どもたちに新しい成長機会の提供になるようにとの意図や願いをもって実践されていきます。
まず、大人が様々な体験を保育の中で提供すること、子どもの経験や知識に見合った道具や環境を用意する事を通じて、子どもの成長に従ってイメージや想像力も発達を遂げていくことを大切に考える保育を築いていきたいと思います。
子どもがお家でする遊びの姿の中に、そんなイメージをもった表現は色々見られると思うので、ぜひ関心をもって見守ってください。
キッズエンカレッジ