3月3日、桃の節句の日に、保育園では毎年恒例となっている『ひな祭りお茶会』が行われました。
お茶の免許皆伝!のエツコ先生が、毎年、掛け軸や茶釜など、本格的なお茶のお道具を持ち込んで赤い繊毛まで敷かれた、まるで和の茶室!!! という環境をお茶会当日にはしつらえてくれます。
昨年の経験がある年中長児は、前日から「お茶碗二回まわすんだよね!」「ちゃんと座って、ご挨拶するんだよね」と、しっかりお茶の作法を覚えていて楽しみにしていました。
さらに年長さんは、お茶をたてるお点前を体験させてもらえるというので、どうやら事前にどんな風にやるのかエツコ先生から少し教わっているようです。
「お茶をたてるのは、最初はゆっくりまわして、その後はシャカシャカってはやく混ぜるのがコツ!」
「最後はこぼれないように、そぅっと置いて・・・」
と、何故かお点前をする前に得意げに話をしてくれていました。(笑)
桃の節句にひな人形や、桃の花が飾られ、「女の子が元気で幸せになるように。けがや病気から守られるように」という願いが込められた行事だという意味を自然に受け止めながら、お茶会を楽しみにしていました。
いよいよお茶会当日。
今年は、夏からお話会に参加していたあんず組さんも、御呼ばれしてお茶を頂戴することになりました。
あんず組の子どもたちには初めての経験、いつもと全然違った雰囲気のお部屋に入ってきたら、さすがに緊張した面持ち。
でも、厳かで静寂を感じる環境の中で、誰に言われるでもなく自然にお行儀よく、静かにお茶をたてる作法をじっと見つめていました。
ほどなく、一人ひとりにお茶が運ばれてきて、お茶請けの和菓子やおひがしがまわってきます。
「自分の分をとったらお隣に『どうぞ』とまわしてからいただきましょうね」と教わると、ちゃんとその通りにできました!
お抹茶はどう?苦いかな?と心配しましたが、意外にほとんどの子が「苦くな~い」と飲んでいました。
もちろん、お菓子は美味しくいただきました。
年少中の子どもたちは、エツコ先生のお点前作法にさらに興味があるようで、少し腰を浮かせてのぞき込んだり、茶釜からお湯をくみ上げるひしゃくを「あれ、何?」と聞いていたり、道具や使い方に注目していました。
年少中児は人数が多いので、お茶やお菓子をいただけるのに少しだけ時間が長かったのですが、場に添った居方を最後まで持続していた姿に成長を感じ、緊張した表情も頼もしく見えました。
いよいよ年長さんの番です。
昨年の経験もあり、それぞれに子どもたちはシュミレーションしてきた様子。緊張というより何だかワクワクした期待感がいっぱいのまなざしで、まずはお点前を受け、教わった所作に従ってお茶やお菓子を頂きました。
茶器の扱いはもとより、手に取った茶碗をぐるっと見回し、「キレイな模様」「お花がかわいい」「おひなさまの絵だ・・」と、茶器の美観や個性を愛でていました!
これは「そうするように」と言われたわけではありません。エツコ先生が、お茶をたてながら掛け軸や装飾類、道具のことなど少しずつお話しながらお点前をしてくれている中で、「お茶碗は全部違う模様なの。一つ一つ柄の中に意味があるのよ。自分の手元にきたお茶碗に出会ってね。」と言っていたことを『愛でる』という風に受けとめたのでしょう。
次は子どもたちがお茶をたてる番です。一人一人順番に、静かに茶釜の前に座り、茶筒からお抹茶を茶碗にいれ、茶釜からひしゃくで静かにお湯を注ぎます。簡単そうですが、初めてのお道具を扱うのは勝手がわからないので慎重です。お抹茶の分量もどのくらい?長いひしゃくでお湯をこぼさずに茶碗に注ぐのもわりと難しいのです。
大人に伴走されながら、みんな自分で考えて、「私のお点前」を披露できました。
立てたお茶は、子ども同士がふるまい合って、再び美味しくいただきました。
こうして1つの行事を楽しみに自主的な事前学習をしつつ得た活動の手ごたえは、子どもにとってとてもインパクトがあったようです。
クラスに戻ってからも、そのクラスならではのお茶会が催され、見て感じたことを模倣する遊びが展開されていました。
特に年長児クローバーの子どもたちは、男女問わず、ともすれば少し敷居が高い伝統的な作法を習い、ふるまってみるということに積極的に興味を抱き、当日のお茶会を経験できたことは、大きくなった自分に自信がもてる体験だったようです。
卒園、進級まであと残りわずかな日々ですが、日々の中で充実した活動ができるよう、大人も一緒に励みたいと思います。
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