卒園児の皆さん、保護者の皆さん、ご卒園おめでとうございます。
今年もコロナウイルスのため、いまだ緊急事態宣言下であり縮小した形での卒園式の執り行いとなりました。
残念なことではありますが、このコロナ禍という現代が「人生の中で、何が起きるかわからない」ということを改めて知るきっかけになっているだろうと思います。そこで改めて教育の役割や方向性を考える必要性も出てきたように思います。過去の歴史からひも解くと、自然の中で人間が生き残ってきたのは賢さや強さということだけでなく、運と適応が大切だということです。ここで言われる運というのは、何となくラッキーということでなく、適切な時に適切な場所にいることを自分で見出し、その状況の条件にうまく適応できる能力を持てているか否か、ということです。もちろん知識を得ることは大事ですが、現代のように時代の変化に適切に対応するためには、自分の頭で考える力が重要です。この先も、どのような状況が訪れたとしても、自分の頭で考え、決断できるようであれば、自分の道を自分で切り開けるようになるでしょう。
その力を育てる基礎として、幼児期の子どもに教育的なかかわりや環境がどのように提供さていくかは、これからますます問われることでしょう。私たちも、コロナウイルスの感染予防対策を取りながら、昨年からの保育を余儀なくされていますが、子どもの安全を守りながら、いかに子どもたちに多様な体験、活動が提供できるかを考え続けてまいりました。
縁日や水遊びといった季節を存分に感じられる行事や活動、栄養士を中心にした衛生面に十分な配慮をしながら燻製づくりや、クッキングも子どもたちにとっては新しい体験だったと思います。クリスマス会やひな祭り茶会など、子どもたち自身が主体的にチャレンジできる活動もできました。すべてが「いつもとは違った条件、状況」の中で、不自由なだけでなく新しい活動の形も、子どもたちとともに築けてきたように思います。子どもたちは、そうした経験の中で仲間関係だったり、新しい知識や技術だったり、自分の世界が広がっていくことで「大きくなっていく自分」に自信を深めてくれた姿が、今日もとてもよく表れていると思います。
この後も、自分たちでクオリティを求めながらみんなで完成させてきた合奏を自信をもって披露してくれると思います。ぜひ、この良き日に子どもたちの頼もしく成長した姿を確認してください。そして、今日の経験がさらに小学校生活をスタートする勇気になっていくことを心から願っています。
改めて、大切なお子様を託してくださり、様々にご協力いただいてきたことにお礼を申し上げます。簡単ですが、わたくしのご挨拶を終わらせていただきます。ありがとうございました。
園長 日下部 樹江