6月18日に幼児の3.4.5歳児が毎月楽しみにしている、お話し会が行われました。
今回行ったお話の内容は3つです。
- 「かやぶき屋根の家」(ぐるぐる話)
- 「むしばはなぜできるのか」(絵本)
- 「うごきのはなし」(プロジェクターをつかった動き模倣)
まず、ぐるぐる話がどのようなものかといいますと、「これはかやぶき屋根の家に住んでいるおじいさんです」のように、言葉のつながりでできているお話です。
『かやぶき屋根の家に住んでいるおじいさんの次におじいさんの馬が出てきて、馬の馬糞が出てきて・・・』というように、お話に、お話の続きが展開されていくのが、ぐるぐる話です。つながるお話の面白さだけでなく、文法でいうと「前の構文の内容にもとづいて、次の構文の理解(解釈)をしていく。」という、簡単な文章の組み立て、基本的な構成を、お話を聞きながらしっかり学んでいるのですね。
普段、子どもたちは何気なく会話ができるようになっていて、幼児は子ども同士でも、お互いの意思疎通は十分にできる語彙の獲得をしています。その話し言葉が学童期に向かう中で、「文章を読んで正しく意味を理解する力」=読解力に結びつくことも、お話会で様々な形で文学活動をしていくという、「幼児期に楽しく学ぶ経験」ができるカリキュラムの実践を、保育では意識しています。
子どもたちは、言葉を習おうと思って、獲得しているのではなく、成長の経過の中で「文学を通じて聞き、意識的に言葉を聞くことや、前後のつながりからわかってくること」を面白がってもらいたいと思い、今回はこのお話が題材になりました。
大人はいろいろな反応を予測していましたが、実際には子どもたちの面白ポイントは、全然違いました。出てくるもの(馬糞など)の普段聞かない言葉と絵と自分が知っている(ウンチ)が同じなのか? 次は何が出てくるか? という更なる予測と絵の意味することと、文章での理解の一致を当てようとすることでした。
また、途中のワード「たかっているハエ」の「たかっている」ってなんだ? などワードの不思議にも関心を持ち始めている子もいました。
このように、文章のつながりの中で「言葉には使い方がある。」ということにも注目できたことは、子どもたちの知りたい意欲を深めることにつながったように思います。
2つ目は、園で行う歯科検診が近いということもあり、日ごろの習慣や、歯磨きの習慣、意識を持ってもらいたいということから、ちょっとした歯のモチーフを使ってお話をしました。
子どもたちの言動からも「お家で磨いているよ」「ママに磨いてもらってる」口々に言う発言からも読み取れましたし、(中には「虫歯にならないためには、歯磨き粉フッ素がいいよ!」など詳しい知識も出てきてびっくりです!)
その反面、日ごろの習慣を思い浮かべて、内心・・・ギクッと思った子もいるかもしれませんね。
しかし、今回一番の注目点は、もっと他にありました。そのポイントは、「なぜ動物や魚などは虫歯にならないのか?」ということでした!確かに聞かれるまで、そんなことを考えたことがなかったです。子どもたちの想像力の中で、色々と子どもたちなりに答えてくれました。
さて、正解は!
「魚たちは、海の水で洗われているから、歯はいつも綺麗」
「へびやワニは、食べものを丸呑みして噛まないから」
「鳥たちは、歯がないから、虫歯菌がすめません」
子どもたちの受け止めは、「やっぱりー、当たった!」「へぇーそうなんだー」と、答えに関心を寄せていました。
虫歯が虫歯菌というばい菌が原因でできることや、魚や動物たちが人間とは違う食物摂取をするから、そうしたばい菌が増殖しないのだ・・という、健康と習慣が関連している意味になっていたらいいなと思います。
まずは、虫歯菌、バイバイキーン!と、歯磨きをしっかりできるようにね!
最後にプロジェクターを使って大きく映し出す「うごきえほん」を見ながら、園長先生と一緒に、絵本に出てくる「お江戸の若者」?がする、いろいろな動作を真似してみました。映写が始まる前に、お江戸言葉での口上を聞き、「なんか変な言葉~」と興味津々。
そして、映し出されたプロジェクターに映った動きを、「はい!できるかな?」と、見よう見まねでやろうとする子どもたち!同じ動きのはずが、それぞれが見たまま即興なので、似ているような似ていないような、(笑)
「こうなの~?」
「足、前だよ~」
と、大盛り上がり。単純に動きを模倣するって簡単なはずだけど、完全に同じにするのは少し難しいよね。子どもたちにはそれが面白かったようです!
画面の中で、お江戸の若者はまじめにいろいろな動作を披露します。そのたびに子どもたちは、「まじめに歩くってなんだ?」と、子どもたちなりに動きをとらえて表現しようとする一生懸命な姿がありました。
みんな必死!(笑)
考える動き、歩く動きなど、出てくる様々な動きを試しながら、
「難しー!」
「なんか変なかっこう!」
「見て、できたよ」
など、子どもたちもいつも何気なく動いている自分の動作を、意識して「動かす」体験になりました。
”生きる”ということは、日々何気ない動作の連続です。普段のほとんどの動作は、小さな頃から学習しながら獲得してきてきたものですね。小さな時から子どもは、”動き出す”ことによって、たくさんの挑戦をし、転んだり、バランスを崩してひっくり返ったり、ぶつかってみたり、かなりのリスクを冒して(痛い目にもあって)チャレンジし、手に入れた動作の数々です。今、活発に動けている発達もけっして当たり前ではないんです。
そうして動きを獲得してきた幼児の子どもたちが、改めて「意識して動く」「思ったように体を動かせる」ということが、簡単じゃないなあ~と感じたチャレンジにもなったようです。さらに動く事で、大切な事を人に伝えたり、素敵に表現したり、面白い事、怖い事など、言葉を話すこと以外でも、動くことによって伝わることに気づいたようですね。動く事で、喜びが大きくなったり、人と何かを共有したり「生きている事が楽しくなる」って感じられると良いですね。
また、動きは、自分を表すシンボルにもなります。そして、それを私達は「しぐさ」とも呼びます。この絵本で、自分や他人の身体の事、動作(しぐさ)の事を知れるといいですね。皆同じだけど、少しずつ違うねってことにも興味をもてると、自分の事も人の事も面白くなりますよね!
さて、7月のお話会はどんな興味が広がっていくのでしょうか。