11月16日(金)の食育懇談会が行われ、17名の保護者の方が参加してくださいました。
今回のテーマは「食事における発達段階と子どもに育てたいこと」です。「食育」といっても、離乳食を食べている0歳の子と、自立して自分で食べることができる子とでは、子どもに必要な援助が違うため、大人の関りや援助する内容も変わります。 その発達段階の違いをふまえて、保育園での食事を保育者や給食室がどのように考えているのか、具体的な実践をどのようにしているのかをお伝えしたいという意図で懇談会を行いました。
始めに、栄養士の高田より給食室が安全でおいしい給食を提供するために、日頃から取り組んでいることについてお話させていただきました。
子ども達に様々な食材や料理を知ってもらいたいということから、旬の食材を取り入れたメニューを考えていること、2週間ごとに同じ献立を出すことで、食べにくかったものは調理法や切り方を変えたりすることでより子ども達がおいしく食べられるように工夫しています。
そのため、給食アンケートが常時用意され、「保育者がその日の子どもの食べ方や保育者自身が食べた感想を記入し、給食室と保育士者が内容、調理法の共有をしています。 また、保護者の方へ給食たよりの中でおすすめメニューを紹介したり、ホームページ内のブログで給食の写真をご覧いただけるようにしています。」という内容の話がありました。
乳児期は育児担当制を取り入れているため、担当者がその子が自分でしたい欲求を尊重しながらも、その子が必要な量を気持ちよく食べられるように、その子の様子やペースを見極めながら援助しています。このくらいの時期から食べ物の「好き嫌い」が出始める子が多いですが、味覚が育ち、味の違いを感じられるようになってきて自分の好みが理解できるという成長の証でもあるため、幼児期までのどのクラスでも食べてみる?と勧めながら、自分自身で食べる、食べないということでさえも子ども自身が決められるよう援助しています。
2歳児あんず組では、「食具(スプーン)を使って自分で食べること」「苦手なものも一口は試してみようとすること」の二つを大きな目標として食事の援助をしているということで、多少こぼしながらも「自分で食べる意欲」を尊重する関わりを心がけているという話がされました。 「苦手なものも食べてみよう」と勧めながら、子どもが自分で決めることを大事にし、それと同時にもしその時に食べられなくても、大人や友だちの感想を聞いたり絵本を通して食材や味に興味を持てるような働きかけをしているなど、具体的な育児内容をお伝えさせていただきました。
くるみ組(ハート)では、自己行為が安定し、食事行為が自立してきたことからクラス全員で食事をするようになり、子ども同士、会話をしながら食べる様子が多く見られるようになっています。
遊びの中で野菜や果物のカードで遊んだり、会話の中で食べ物の話をしたりするなど、食に対する関心も強くなりつつある姿が紹介されました。
くるみ組(ダイヤ・クローバー)では、これまでの食事の経験を踏まえ、自分の好みの味付けや食べ方を認識してきているので、保育園では食べる量を自分で決められるように大人が一人ひとりと食べたい量や食べられる量を確認しながら配膳をしています。また、自分でできることが増え、セルフサービスで準備をして食事をしています。 社会性も芽生え、食べることと社交性がリンクしてきた時期なので、会話をすることと食べることの2つの行為のバランスを調整して食べることを意識しながら、保育者も関わるようにしていることなどが話されました。
VTRを見ながら、出汁の試飲もしてもらいました。給食では毎日出汁を取ることにより、うまみがたくさんあるため塩分を少なめにしてもおいしい汁物ができること、子ども達も好んで飲む子が多いことなどをお伝えしながら飲んで頂きました。味をつけていなくてもおいしいと、どの方もあっという間に飲み干していました。
このように保育者からの説明を聞いたり、VTRで子ども達の食事の様子を見てもらったことを元に懇談が行われ、保護者の方からは、乳児クラスでタオルを使っている理由、机の高さなど食事をする環境について、お家でのお子さんの姿に対しての援助や対応の仕方など、質問や感想をたくさんいただきました。
それに対して担任からは「園ではどう援助しているか、その子がどんな姿か」ということを、「発達に対して大人がどのように見ていくか」などの具体的なことについては園長からお話をさせていただきました。
今回の懇談会では、園での様子とお家での姿を共有しながら“こどもにとっての食事”ということについて知ったり考えたりする機会にできたと思います。また、このような機会を作っていきたいと思います。ご参加くださった保護者の皆様、ありがとうございました。