1月16日(金)、今年度最後のお話会を行いました。今回は、これまで参加してきたくるみ組に加え、初めてあんず組(2歳児)も一緒に参加しました。
この日を楽しみにしている様子は、朝から子どもたちの姿に表れていました。普段はなかなか部屋に入りたがらない子が、外遊びを切り上げて急いで戻ってくる姿もあり、お話会が子どもたちにとって「特別な時間」として育ってきていることを感じました。
季節と出会うお話
『おしょうがつのかみさま』
最初のお話は、お正月という季節に親しみながら、音やリズム、あいさつといった要素を通して物語に出会える『おしょうがつのかみさま』です。

次々に登場する動物たちを見て、「あ、うまだ!」「あれ、見たことある!」と声をあげる子どもたち。門松やしめ飾りに気づき、自分の生活の中の記憶と重ねながら物語を受け取っている様子がありました。
「あけましておめでとう!」と動物たちがあいさつをする場面では、あんず組さんは言葉の響きに反応して拍手が起こり(「誕生日おめでとう」?)、その拍手に思わず加わる子どもたちもいました。一方で、それが季節のあいさつだと理解し、拍手とは違うと感じ取っていた子どもたちもおり、同じ場面をそれぞれの発達や理解の深さで受け止めていることが伝わってきました。


お餅をつく場面では、「ぺったん えいほ!」という言葉のリズムに合わせて、子どもたちから自然と掛け声が生まれました。物語の中に“参加する”ような感覚で、音や言葉を楽しんでいる時間でした。
鏡餅から神様が現れ、動物たちがゆっくりとお正月を過ごす場面では、「たこあげしてる」「おせち、おばあちゃんちで食べた」「おとしだま、もらったよ」と、子どもたち自身の経験と重ね合わせながら、物語の世界を味わう姿が見られました。



物語を深く味わう
『ろくべいまってろよ』
続いて、4,5歳児に向けて、登場人物の気持ちや行動の意味を考えながら物語を味わってほしいというねらいで、絵本『ろくべいまってろよ』を人形を使ってお話ししました。




穴に落ちたろくべいを「ともだち」として助けようと力を合わせる場面では、子どもたちが息をのむように見入っていました。大人たちが「いぬ」としてろくべいを扱う場面では、「ろくべいは友達なのに、なんでだろう?」と考え込むような表情も見られ、出来事の意味や登場人物の思いを、自分なりに受け止めようとする姿が印象的でした。
特に年長の子どもたちは、物語の流れだけでなく、その奥にある意図や感情を、自分の経験と結びつけながら静かに考え続けているようでした。



お話会のあとに
お話会が終わったあとも、子どもたちの中で物語は生き続けていました。登場した動物のことを思い出しながら話す子がいたり、部屋に戻るとすぐに餅つきの場面を遊びとして再現する子がいたり、言葉の意味の違いに気づいて友だちとやりとりを重ねる姿もありました。また、子ども同士で絵本をもう一度開き、物語を振り返りながら、より深く理解しようとする姿も見られました。
同じお話に触れながらも、その受け取り方は年齢や一人ひとりの育ちによって異なります。その違いこそが、文学体験の豊かさだと感じています。

文学と出会う原体験として
私たちは、お話会を「知識を伝える場」ではなく、文学や芸術と静かに出会う体験として大切にしています。
聞くことを楽しみ、待つことを知り、特別な時間として見通しをもつこと。回数を重ねる中で、そうした力が子どもたちの中に、確かに育ってきました。
物語と出会ったその時間が、子どもたちの中で、これからもゆっくりと生き続けていくことを願っています。