保育園が縁日になった!

 8月4日、保育園の環境は縁日になり、コロナ禍で全国的に中止になっている「夏祭り」にかわる経 験にしようと2〜5歳児を対象として園内での行事を行いました。 保護者の方にもお話し、甚平や浴衣、サマードレスなどなど、縁日に行く気分になる扮装などもご協力 頂き、朝から子どもたちも気分はお祭り!からスタートしました。

お神輿も登場!

夏祭りをモチーフにした装飾も!

縁日と言えば、やっぱりこれでしょ!

 給食室のスタッフの提案もあり、「夏らしさが感じられる食事」を子どもたちに体験させてあげたいとい うことで、縁日風に4,5歳児はエントランス前のスペースに屋台に見立てた食事コーナーを設定して、 夏の日差しを感じながら戶外で食事をすることにしました。 昼食、おやつなどのメニューは焼きそばやお好み焼き、デザートもフルーツポンチやスイカを、給食の 先生が出店風にパックに詰めて給仕してくれるなど、まさに縁日で食べているような演出に子どもたち の食欲は驚くほど旺盛でした!

 一方、2,3歳児は普段は行くことのない幼児スペードの部屋に、こちらも屋台風の食事コーナーが しつらえられ、出店に見立てたカウンターに自分で「くださいな」と焼きそばをもらいに行くなど、い つもの食事とは違う雰囲気をワクワクしながら楽しんでいる様子でした。

 縁日のだいご味といえば、様々なゲームができること。

 この日のために保育者も遊びの準備をはりきって行いました。 遊びの会場は、くるみ組とあんず・ハート組のお部屋に魚釣り、射的、スライムづくり、うちわ作り、 縁日屋台ごっこのコーナーなど、子ども達が自分で工夫して遊べる種類の仕掛けがたっぷりされていま す。

 年⻑児の特に男子に大人気だったのは魚釣り。 保育者がこだわりの「リアルな魚」を、魚釣りの岩場をイメージした飛び石を渡りながらの釣りです。 どこでどう釣るのか?を釣りたい種類のリアルな魚を狙いながら、釣り人がポイントを探すように場所 選びもしていきます。 たくさん釣れたら魚はリリースして、またチャレンジするなど、本当の釣り人のようでした。

 的当ては、お話会からブームになっているおばけを的にしたもので、難易度の差がある中から自分が チャレンジする対象を選び、狙ったお化けを倒す!というものです。 距離やお化けの大きさ、種類を変えながら、全部倒したい子もいれば、一つ目やカラかさお化けだけな ど、お化けを選んで狙い撃ちする子もいたり、なかなか白熱したお化け狩りでした。(笑)

 また、前にコントロールよく投げることがまだ難しい2歳の低月齢の子どもたちは、ルールをかなり緩和して的のすぐ前で「当てる」ことを目標に集中して投げることを繰り返したり、この的当てゲーム を通じて、かなり投げるという運動が上手にできるようになっていったことも大きな喜びと満足を得た 経験になったようです。

 うちわ作りは2,3歳児に大人気。 今まさに製作意欲がムクムクと湧き出している年齢の子どもたちは、道具の魅力にモチベートされ、も くもくと集中した作業に入り込みました。
大人のお手伝いは、道具が混ざらないように整理するだけ。 言葉通り、個々の主体的な創作活動です。手形スタンプやシール貼りを組み合わせてできあがったうち わは、本当に自由で個性的な色使いをするなど、その子のならではの世界観を表現した、ステキな 1 点 もののうちわができました。

 さて、幼児がはまりにはまった遊びはスライム作りでした。 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、スライムの材料は、100均で売られている「魔法の砂」と 洗濯のりを混ぜるだけのいたってシンプルな材料です。
 しかし、シンプルなものほど奥は深い! 魔法の砂の量と洗濯のりの量の微妙な加減や練り方によってスライムの粘りは変わるのです。 混ぜているうちに硬くなってしまったり、少しドロドロになって伸びなくなるなど、子ども達は自分が 思い描く、いい塩梅にするのに夢中です。 それだけでなく、魔法の砂には色々な種類の色もあるので、好みのスライム作りは考えることもいっぱい、試すこともいっぱいで皆、無口になるほどの集中! まるで科学者の実験みたいな雰囲気でしたが、モノとモノが反応して、変化していく不思議とその面白 さに科学を学ぶ入口が体験できたならとても喜ばしいことですね。 こんな風に遊ぶ事で、学びの世界が面白いと知っていけると学習が楽しくなるだろうと思います。

 そしてフィナーレは園庭での盆踊り。 商店会にお願いして、いつも加賀町会と加賀商店会が主催している盆踊りの音源をお借りして、柏踊り とアンパンマン音頭を踊りました。
 この 2 曲は、夏の毎日体操がわりに踊っていて、皆、振りも覚えています。 今年は町会でも盆踊りは中止だけれど、その分もたっぷり踊ろうと保育者も振りを覚えての活動です。 夏らしい風物詩でもある盆踊りが、来年は子どもたちもお祭りで踊れるといいなぁと大人は願いながら。

 こうして 1 日を楽しんだ子どもたちですが、縁日の興奮冷めやらず、今は縁日の屋台をモチーフにし たお店屋さんが子どもたちの遊びでは盛んです。 特に幼児は、本物に近いリアルな見立てや役の設定に「なりきる」姿が見られます。 一緒に経験した縁日という共通体験が、子どもたちのイメージの共有を助け、新しい仲間関係ができる など、子どもたち自身が自分の世界を広げていくようです。

 今はまだ活動や行事の制限もありますが、できる注意をはらいつつ、子どもたちが今必要とする経験が できるように、活動を工夫して実践していきたいと思います。

おまけ (縁日のお店)

スペシャルお話し会!

 7月も後半に入る17日金曜日。毎月第3金曜日に行っている文学を楽しむお話し会が行われました。

長い梅雨のさなか、夏らしい天気が早くやってくるように毎日「ザ・夏!」になるのを子どもたちも楽しみにしていました。

 雨で室内の遊びが多くなっていましたが、そんなうつうつとした天気に負けないように、保育者も今年の夏は少しスペシャルなお話会を行おうと考えていました。

そこで、これまで取り組んできた人形劇や七夕を通して、子どもの中に芽ばえてきた文学への興味を更に高められるように、夏に想像力が掻き立てられるものといえば。。。おばけ!

ということで、7月のお話会のテーマは「お化け」とすることに。

「いるようで、いない」「いないようだけど・・いるかも」と、自分の中で様々な想像がふくらむ時期の幼児には、自分が聞いた事があること、知っている絵本、中にはTVなどの知識をフルに動員しながらのお化けイメージをもっての参加です。

何だかワクワクする、けど、「怖くないかな~」とちょっとドキドキも。

お話会当日、1つ目のお話はエツコ先生が『おばけかぞくのいちにち』の絵本を読んでくれました。

おばけ一家は朝と夜が逆で、ご飯もなんか変なもの食べていて・・でも、おばけも保育園にはいくんだって・・・。あるような、ないような、自分達と同じように生活しているおばけがユーモラスに描かれている絵本です。

あんず組さんから、クローバーの年長さんまで、想像する楽しみポイントは違いますが、みんなおばけの生活ぶりに興味津々。

お話の中に出て来るおばけの食べ物「うそつきバナナ」には、「どんなバナナ?うそつくってしゃべるの?」と、注目の的になっていました。

2つ目はペープサートによる、「クレヨンのクロくんと、なぞのおばけ」というお話。

おばけ、というだけでも心惹かれるのに、さらに「なぞ」なんてワードがくっついたら、そりゃたまりません! 七夕会でもペープサートを楽しんだ体験もしているので、期待感が高まります。

お話が展開されていく中で、次々といなくなってしまうクレヨンたち。

子どもたちは「なんで?」と、それぞれの中でなぞを考え始めました。

結果は、心優しい人助けのためにクレヨンくんたちが協力して絵を描いていたということでしたが、ここでも「ありそうで、なさそうで・・、でも本当だったら?」という想像をたっぷりした様子でした。

同じお話を聞いていても、見ていても、子どもが一人一人想像する内容は違いますし、自分の生活体験からリアリテイを感じて自分に置き換えてみるところも違います。

保育者にとっても、お話を通して子どもが抱く想像の世界と、現実の自分達の生活体験を結び付けて、お話の内容以上に個々の子どもの中でストーリー展開していくことが豊かにできる力を子どもたちが蓄えていることが垣間見える、とても楽しくて貴重な体験となる活動でした。

最後は、お話の余韻が覚めず、おばけへの想像がさらに楽しめるように、『やなぎのしたには』という、わらべうたで遊びました。

♫ やなぎのしたには、おばけがうーうー。おばけのあとから、おけやさんがおっけー、おっけー、おっけやさんのあとから、おまわりさんがえっへんぷん。おまわりさんのあとから、いたずらぼうずがジャンケンぽーん!♫

と、歌いながら仕草を行うものです。

お話の中のおばけのイメージの楽しさと、ジャンケンでは勝つぞ!と、勝負に対しても子どもたちのテンションは上がり、盛り上がりをもってお話会を終えました。

おばけの想像やお話は、今でも子どもたちの遊びの中で継続して展開されている様子です。

こうして、子どもたちが内包する想像力を発揮しながら、子どもたち自身が遊びを生み出し、関わり合いながらその内容を広げ、深めていけるように私たち保育者が、子どもたちが様々なお話に出会えるような、お話し会という活動の機会を大切な取り組みにしていきたいと思っています。

『七夕の装飾』について

 七夕会は楽しく行われましたが、今年の七夕もお天気には恵まれませんでしたね。

幼児の子どもたちは雨だと織姫と彦星は会えないんだよ・・と思っているので、お天気は心配事の1つでしたが。

 もし雨でも七夕の日に織姫と彦星が会えるように、子どもたちの安心と希望をかなえようと玄関前の装飾は「天の川」をイメージしたものとなりました。(ですが、前日の夜が強風と雨でこの天の川の写真が撮れませんでした。残念。)

 また、コロナウイルス感染の影響も考慮し、例年の本物の大きな笹を使うことを避け、「天の川から宇宙へ」というテーマで、中央に天の川がかかり、その中と周辺にたくさんの★と、伝統的な七夕飾りを空から降ってくるように飾り付けられると、子どもたちは「わ~!」と上を見上げ、その中に自分が作った飾りを見つけると嬉しそうに眺めていました。

天の川の手前には、七夕の飾りと幼児の子どもたちがお家の人と書いた短冊が飾られました。

子ども同士の会話では、願い事の内容より、自分の短冊が何色でどれか、とか、「あ、っていう字が難しいんだよ!」とか、短冊づくりの方にフォーカスされた話だったのが面白かったです。

砂場側のフェンスにはゴーヤを育てているネットが網目状に下げられていますが、いちご組、りんご組の小さな子どもたちはお家の方に書いてもらった短冊を飾らせていただきました。

短冊の内容はわからなくても、お迎えに来たお家の人に抱っこされて短冊を見ている様子はどの子も「これには何か深~~~い意味があるに違いない・・」という表情でした。(笑)

七夕にまつわる様々な活動の中でも、装飾になる製作活動は幼児期の子どもたちにとって作りながらファンタジーの世界を想像し子どもたち同士も共有していく大切な機会になったようです。

飾りの色や出来栄えに思い入れもでてきて、納得いくまで何度も作った達成感も感じた様子。

製作することが好きになった子も増えました!

保育園の行事の装飾では、できるだけ子どもたちも製作に参加して自分達の環境を作っていく体験にしたいと思っています。

保育園の中の装飾もそんな子どもの活動に通じていると、楽しみに見て頂けると嬉しいです。

七夕会を行いました!

 6月末から7月第1週、七夕にちなんだ様々な活動をしながら、個々の子どもが「七夕ってどんなこと?」と想像していく体験をしていきました。

 生活のなかで、運動遊び、絵本やわらべうた、七夕飾りの製作や描画など、いろんな材料や機会を通じて、現在の日本では季節の節目を意味する五節句の1つとされている七夕について、子どもたち自身が自分の好きな活動から興味をもち、知っていけるような機会にできればいいなと、それこそ大人は「願って」の取り組みです。 様々な角度からの体験から、自分の好きなことを子ども自身が発見してほしいなあと。

2020.07.07 七夕会

 七夕会当日は、くるみ組(ダイヤ・ハート)の部屋に2歳児あんず組から年長のクローバーさんまでの子どもたちが集まって、七夕会を行いました。

 年長の子どもたちは、あんず組さんという小さな子を迎える歓迎の気持ちを、自分達が製作した天の川や笹の葉をモチーフにした飾りつけをしながら表現して、楽しみに迎え入れる準備をしました。

集まって来た子どもたちも、お部屋に入った時にたくさんの星や笹飾りに注目して、いつもと違った雰囲気に少し緊張しながら参加しました。

2020.07.07 七夕会

七夕会の始まりは、織姫と彦星のお話。大人によるペープサートで始まりました・

あんず組の子どもたちは、始めて見るペープサートに興味津々。

登場人物に注目する子、お話の展開やストーリーに聞き入る子、いろいろな反応をしていました。

少しユーモラスな神様に笑ったり、織姫と彦星の気持ちになってみたり、ペープサートそのもの、道具を扱うことに憧れをもったり、それぞれの子どもがそれぞれにお話、ペープサートの魅力を味わえたようでした。

2020.07.07 七夕会

わらべうた遊び♩

 お話、ペープサートの後は、わらべうた遊び♩ ♫七夕のかみさんが、たなから落ちてはいもぐれ~♩

丸くなって拍に合わせて歩いてすすみ、♪う~りやなすびできげんとる♪ では、16分のリズムで小走りし、最後小さくジャンプ!という歌と振りをしながら、長い長い列ができ、ぐるぐるつながっていくことや、♪きげんとる♪とジャンプしながら、誰につながろうかな?と相手をさがすことで大盛り上がり!

大人も入って一緒に楽しみました。

織姫、彦星ゲーム

その後は、くるみ組が残りゲームタイム。 織姫、彦星ゲームをしました。

ハンカチ落としのように、織姫、彦星になるカードを円の周りをまわって誰かの後ろに置かれます。

それを持って円を回り、次の人にカードは渡ります。

2020.07.07 七夕会

なかなか気づかないハラハラ、ドキドキと、次は回ってくるかな?の期待のドキドキ!

織姫と彦星になって追いかけ合う遊びなのですが、七夕のお話やわらべうたで遊んだイメージも手伝ってか、追いかけ方がドラマチックな臨場感にあふれていました!

 七夕会が終わった後も、ゲームやわらべうたでの遊びは子どもたちの中で繰り返されていたり、あんず組の小さな子どもたちも子どもたち用に作っておいたペープサートで、七夕会のイメージを模倣してお話をする遊びが行われたり、様々な興味と遊びの内容が広がる機会になった体験でした。

そして、こうした活動、経験がまた次のお話会の体験へとつながっていきました。

その模様は、また次回の記事でご紹介したいと思います!

お話し会 人形劇「金のがちょう」

 コロナウイルス感染防止対策で、実施できずにいた毎月第3金曜日に行われるお話し会を久しぶりに行うことができました。

 今回はいつも以上に、子どもたちにお話の世界をたっぷりと味わってもらえるよう、保育者が時間をかけて準備、練習して届ける人形劇です。

 人形劇に触れることで、幼児期に大切な「ものごとをイメージする力」そして「イメージしたことを表現する意欲」へつながる体験として、お話のユーモアと登場人物それぞれの状況や気持ちに感情移入しながら物語の世界を味わってほしいと、グリム童話「金のがちょう」をモチーフにした脚本づくりからはじめた保育士完全オリジナル版の創作劇です。

 創作の過程で、保育者同士も子どもの発達に見合ったストーリー展開や、その演技、演出の仕方など、改めてたくさんの学びがありました。

 幼児期の興味・関心、現実の経験と虚構の世界との橋渡し。

「こんなことあるかな?」「あったらどうしよう」というドキドキ感。

「わ~、変なの~」と笑ってしまう出来事の中にある、人間のリアルな体験を根源にもつ登場人物の心理など、どう今の子どもたちに伝えたいか?!と、練習しながらのデイスカッションは繰り返されました。 

 何よりも、子どもたちにこの人形劇を楽しんでもらうことで、日常のリアルな体験とファンタジーの世界が結びつくことで、子ども自身が新しい想像の世界を創造していくキッカケになってほしいと願っていました。

 いよいよ人形劇の当日。

「今日のお話会は、何だかいつもより特別らしい?!」と期待を膨らませる子どもたちに、久しぶりに本格的な人形劇に挑む大人たちがドキドキ!!!

 大人の熱演と、試行錯誤して練り上げた物語は、子どもたちをワクワクさせる「虚構=現実」の世界として味わってもらえたようです。

 人形劇を観賞した後、子どもたち同士さっそくお話の場面を取り入れての再現遊びを始めました。それぞれに物語の中で注目した登場人物のキャラクター?に扮したり、お話の世界を味わいつつも、自分のイメージを表現し合う姿に、「お話を体験する」ことの意味が大きいことが見て取れます。

 それぞれの子どもにより、お話で注目するところは違うかもしれませんが、子どもはそこで体験している虚構の出来事をリアルに受け止めることで、作品の中に入り込み「次は自分がその物語を再現の中で表現しよう!」と、子ども同士のストーリーを創造して遊びにしています。

 こうした子どもの反応、様子を見て考えることは、子どもがそのままで「想像力豊かに」日々を生きているとは限らず、想像のきっかけとなる体験があり、イメージを生むことで遊びになり、さらなる想像につながっていくのだということです。

 またそれが、実は直接経験していることだけで自由に、豊かになっていくとも限らず、むしろ経験しているからこそ想像や空想の世界は縛られている、ということも多いのです。

 むしろ、場合によっては大人以上に日常のリアルにそのまま直接的に規定され、「自由な発想」の芽を出せずにいることは多いのかもしれません。

 保育の中での文学体験や様々な活動は、子どもたちに新しい成長機会の提供になるようにとの意図や願いをもって実践されていきます。

 まず、大人が様々な体験を保育の中で提供すること、子どもの経験や知識に見合った道具や環境を用意する事を通じて、子どもの成長に従ってイメージや想像力も発達を遂げていくことを大切に考える保育を築いていきたいと思います。

 子どもがお家でする遊びの姿の中に、そんなイメージをもった表現は色々見られると思うので、ぜひ関心をもって見守ってください。

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