一人ひとりの子どもは、様々な個性や特性をもっています。
当たり前ですが、一人として同じ子どもはいません。10人いれば10通りの、100人いれば100通りの違いがあるのです。
保育園はその1人ひとりの子どもたちが、自分らしさを存分に発揮して生活をする場所です。つまり、保育園という場所は「主体の宝庫」。
そして、その主体性を育む援助、指導するという養護と教育の役割を担っていく仕事が保育者の仕事です。
国の基本的な乳幼児の教育理念、保育所保育指針に示されている「環境を通して」保育するということは、個性の違う子どもたちが、主体的に環境に関り自らに必要な経験を積み重ねていくことだと明示しています。
国が進める子育て支援策の一環として新しく改定した保育所保育指針においても、保育園にますますそうした子ども主体、子ども中心の保育の在り方、保育内容は求められています。
その役割を担う保育者は、子どもの発達理解や社会性の育ち、心理、情緒的な成長過程など、個別の子どもの、個別の特性を見極めながら関り、援助していくのです。
また、保育者という存在そのものも、子どもにとっては重要な「人的環境」でもあります。
子どもが関わる保育者は、否が応でも子どもに影響を与えざるを得ません。
では、保育を担う私たちは、子どもたちをどんな人間らしい世界へといざないを進めていくことができるのでしょうか?
ある教科書では、『保育者は、文化的に価値の高い経験が可能になるような環境を構成するとともに、幼児を意味ある経験へと導き、幼児自らの世界を広げていくための旅の案内人にならなければならない。』と、その重要性を説いています。
こう考えると、保育者という職業は、そもそも簡単な仕事ではありません。
深い子ども理解と、子ども理解の根拠となる人間発達の科学的な知識の習得、それを子どもの興味関心に照らし合わせながら活動として構成していく技術的な力量、多義にわたる分野の終わりなき能力を、人格的に根気強く自分への研鑽を積みながら、専門性を1歩ずつ高めていくことが必須なのです。
子どもの育ちに無限の可能性を感じ、保育者としての自分も自らより良く成長していきたいと願うことから、子どもとの信頼関係も生まれます。
子どもがより良く育つことと共に、一人ひとりの保育者もまた、個性を発揮し持ち味を生かしながら、高い専門性をもって保育を築いていくことが保育園の切なる願いであり、常に意識している目標です。
2018年10月24日
園長 日下部 樹江