七夕会

7月7日(木)にくるみ組の子どもたちが七夕会を行いました。

子どもたちは事前に七夕飾りの製作を楽しんだり、お家の人と一緒に短冊を書いて飾り付けをしたりと、七夕当日を心待ちにしていたようです。

今年の七夕会では、まずはじめに年長クローバー組の子どもたちから『たなばたのおはなし』のペープサートの発表がありました。

おりひめやひこぼしが出てくる七夕の物語を、クローバー組のお姉さんやお兄さんが発表してくれるということで、年少年中の子どもたちも真剣な表情でお話を見ていました。

中にはこのお話を知っていた子もいたようですが、いつものお話会では大人がお話をしてくれるけれど、今日は年長さんがお話をしてくれる!ということにいつもと違うワクワク感も感じながら、お話を楽しんでくれていたようです。

今回は、いつもは保育者の大人たちが演じているお話を年長の子ども達が演じ手となり発表をするということが、子ども達にとって大きなチャレンジでした。

七夕会の数日前、担任の保育者が年長の子ども達に『七夕会の日にたなばたのお話を年長さんだけで発表してみない?』と提案してみると、子ども達は『え~!?』と驚きながらも『いいね!やってみたい!』とすぐにやる気満々に!!!

『年少さんと年中さんに見せてあげる!』ということを目標にして、練習を頑張ってきました。お話に何の道具が必要か?どんな台詞がいいか?などをみんなで考えたり、お話に出てくる天の川をみんなで製作したり、お互いに演じ手とお客さんの役を交代しながら、『だんだん上手になってきた感じがする!』『もっと大きな声で台詞を言った方がいいよ!』などと、子ども達同士が意見を出し合いながら練習を楽しむ姿も見られました。

そしてドキドキの当日、みんなで力を合わせて無事に演じきり、拍手をもらうと、とても嬉しそうな自信に満ち溢れた子どもたちの姿がありました。

お話のあとは、みんなでわらべうた遊びをしました。

まずみんなで大きな円を作り『♪たんじたんじ』を行います。

外側の円と内側の円で向かい合いながら、2人組になり、歌に合わせてどんどんとなりにずれながら、相手を替えていきます。

「次は誰かな?」「あれ、誰もいない!」「上手にできた!」

ぐるっとまわりながら、何度も繰り返し楽しみました。

次は『♪たなばたのかみさん』の歌に合わせて、円のまま手をつないで回ったり、外側と内側の円を前後入れ替えたりします。

「あれ!手が離れちゃった」「うまくいかないなぁ~」「難しい!」「楽しい!」

子どもたちからいろいろな声があがりましたよ。

年少さんにとっては少しむずかしいところも、ちゃんと年中や年長の子どもたちがリードしてくれていました。

ここで年少、年中の子どもたちはお部屋に戻り・・・

最後は年長の子どもたちだけで『♪たなばたさん』のハンカチ落としゲームを行いました。

子どもたちははじめて聞くわらべうたの歌詞やメロディをよく聴いて、ゆっくり歌を歌う大人の口の動きを見て、覚えようとします。

何度か繰り返して歌を歌ってみてから、いよいよゲームをやってみます。

ハンカチ落としのルールを知っている子も多く、すぐに理解したようです。

歌を歌いながら誰にも気付かれないようにそっとハンカチを置くことや、歌いながら誰にしようか選ぶことなど、2つのことが同時にできるのはさすが年長さんでした。

「ハンカチくるかな?」「次は誰かな?」「あっ!わたしだった!」「まだハンカチこないなぁ~」

自分の番がいつ来るか楽しみに待ちながら、いざ自分の番になると、ちょっとドキドキしている様子の子どもたちでした。

たなばたさんの歌を覚えた子は、そのあとの自由遊びの時間にも口ずさむ様子が見られましたよ。

七夕会での経験が、子どもたちの興味を広げたり、その後の遊びにつながったりしてほしいと思います。

今月は七夕のあとも継続して、七夕をテーマにした遊びをみんなでたくさん楽しみたいと思います。

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6月のお話し会

 4、5月はコロナ休園などもあり、なかなか実施できなかったお話し会ですが、6月24日に、今年度に入ってようやく1回目のお話し会を実施することが出来ました。

 今回の内容は2つ!

 1つ目は交通安全紙芝居の「ケキシダビトン」。 

交通安全の意識を子どもたちがお話しから感じとり、考えてほしいという願いでこの内容になりました。

 2つ目は「マリーちゃんとおおあめ」。梅雨の季節の話から、雨の量、水の力の凄さの臨場感を感じてもらいたいということで、大雨がもたらす様々なことを想像の世界で楽しめるように、めくり絵にしてお話ししました。

 まずは「ケキシダビトン」から子どもたちはお話しを聞きました。

 最初の題名だけで「ケキシダビトン」の言葉の意味に気づく子がいるかなと想定していましたが、以外にも誰も気づかず、お話しがスタートしました。(タイトルは「とびだしきけん!」の言葉が並び変わっています)

 内容は、主人公のクックが魔法の国で登場してくる動物に交通安全の大事さを教えてもらうというものです。

 子ども達は、お話しの世界に出てくるクックに自分を重ねてみていた様子。思わずお話しの中で道路に飛び出してしまったクックの場面では、それぞれ真剣な表情をしていました。

 中には、自分も飛び出して危険な場面があった覚えのある子は、内心ドキッとしていたのではないでしょうか?!

 動物たちに、道路の渡り方を教えてもらう場面では「右を見て、左を見て、もう一度右を見て手を挙げて道路を渡りましょう」と教え、ゾウさんの言葉に対して「なんで~?」と疑問を投げかけたり、「知ってるよ」と言わんばかりな表情で見ている年長児、など子どもたちの受け止め方は様々でした。

 現状では、お散歩など外部に出る活動がしにくかったので、これから園外に出る機会があるときに子ども達に尋ねてみたいと思います!
 お家でもぜひ、子ども達に道路の渡り方を聞いてみてください。覚えているかな?!

 次のお話しは「マリーちゃんとおおあめ」です。

 今回は絵からお話しの内容を想像してもらいたいということから、めくり絵で行いました。

 このお話しは、大雨が降り水がどんどん迫ってきてマリーちゃんがその都度人を助けたり、水の中を移動する行動を迫られて、展開していくお話しです。

 

 最初は雨の多さやだんだん水が迫ってくるシーンを、年長児は固唾を飲み、年中児もじっと見ていて、年少児はまだ自分の体験とお話しの内容のリンクが難しかったのか、不思議そうに見ているなど様々な姿が見られました。

 お話しの途中に出てきた動物や生き物に気が付くとカエルがいたなど雨にちなんだ生き物などを発見することを喜ぶ姿も見られました。

 今回のお話しの内容とは逆に、今年は梅雨明けが早く、雨が少ない梅雨になってしまいましたが、雨の降り方の違いによって、雨の量が変化することや、雨の日の遊びや日常の活動にもつなげていけたらと思っています。

 前年度から引き続き、子ども達の中で、お話し会が楽しみなものになるように、今年度も様々な文学に触れる機会を作っていきたいと思います。

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てるてる坊主パワーと運動会!

 6月11日(土)の親子レクリエーション・運動会、ほぼ全てのご家庭のご参加と卒園児とその保護者の皆様にお集まりいただき、在園の子どもたちも元気いっぱいにたくさんの競技や運動を楽しんで行うことができました。

 お仕事の調整をするなど、この日のために予定をしていただいてのご参加、本当にありがとうございました。

 コロナ感染の状況もあり、当初5月に行う予定であった親子レクリエーション・運動会は梅雨時の天気が不安定な中での日程で行わざるを得ない状況になり、とにかく天気が心配で5月末から週間天気予報とにらめっこしながら一喜一憂し、子どもたちと準備をしてきました。

 運動会が10日後くらいに迫ってきた中、当日の天気予報は少々厳しい状態。前日から当日の朝に向け、曇りのち雨・・。しかも雨が降るという予報の時間帯が日々変わり、何とも不安なお天気の様子でした。

 張り切って運動会の準備や活動に興じ、運動会に期待満々の幼児の子どもたちと、「雨じゃなければいいね~。もし前日も雨だと園庭がぬかるんで使えないから、前の日と運動会の日の午前中は、晴れか曇りじゃないとできないかも~」と、大人が本気でお天気の心配事を伝えて、「みんなでてるてる坊主作って、お空にお願いしてほしいな」と提案しました。

 すると、喜んで受けてくれると単純に思っていた大人の予想に反し、「う~ん、作るけど・・願いがかなうかわかんないよ・・」との言葉。

 「え~、なんで、なんで??」と聞くと、「本当のてるてる坊主のビニールがないから・・紙だと雨に負けちゃうから・・」とのこと。扱いやすいペーパーで作れるかな?と思っていたので、ハッとしたと同時に、目的に対してちゃんとしたものを作らないと願いがかなうかどうか?という、子どもの洞察と「本物志向」という真摯な思考に、どこか形だけ・・・になりがちな大人は忘れがちな価値観、「純粋にかなえたいことに向けた努力は大事だよ!」と考えている子どもたちに教えられた場面でした。

 「そうだよね!雨に負けない本物のてるてる坊主、願いを込めて作ろう!」ということになり、早速、カラービニールをたくさん用意して、てるてる坊主づくりが始まりました。

 作り始めた初日から、「私たちがてるてる坊主作ると急に晴れるね!」と、そのご利益に自信が持てた子どもたちの創作意欲はどんどん高まり、運動会の装飾にもなってご覧いただいたあの表情豊かでカラフルな丈夫なテルテル坊主がたくさんできました。

 てるてる坊主づくりのクオリティが最初から高かったのは、実はその前に「玉入れの玉づくり」を運動会の準備製作としてたっぷり経験していたのです。てるてる坊主の頭の部分を作るのに紙をきれいに丸めることは、すでにお手の物! 

 みんなとても器用に手を使い、くるくるっと頭を作って好きな色のビニールでくるみ、思い思いの表情を描いてくれました。

 その願いは天に届いたようで、前日から当日、暑くもなく寒くもない、結果的に運動会にぴったりの天候になりましたね!

 子どもの本気パワーと念がこもったテルテル坊主は、子どもたちにも私たちにも何か大事なことを教えてくれたように思います。

 さて、当日のお話しより準備活動の話が長くなりましたが、今回は文字通り「親子レクリエーション・運動会」、ほとんどの競技を保護者の方々も一緒に行っていただけるような競技内容をラインナップしました。

 普段はなかなか本気で子どもと競うことや共同して運動する機会ももちにくいのでは?という想像もあり、でも、もしかして「親もこんなに出なきゃならないの?」と思われるかもしれない・・という一抹の不安をひそかに感じながらも、ここはとことん一緒にやりましょう!的な競技にして、絶え間なく皆が参加できるような演目にさせていただきました。

 競技が始まるとひそかな不安は見事にふっとんで、保護者の皆様の積極的な参加により、どの競技もおおいに盛り上げていただきました。

 乳児の、いちご・りんご組、動物変身ゲームでは「可愛く変身させよう」という大人の思いとは裏腹に、帽子を被せられ、ポンチョを着せられ、さらにミトンの手袋まで! 着せてはポイっと脱ぐ子どもとの協同?攻防?がほほえましくもおかしい親子の姿を見せてくれました。

 あんず組のキャタピラリレーでは、前に前にと必死にハイハイで前進する大人と、なんだかわかんないけど、本気モードの大人に圧倒されて動けない子どもとのチグハグなようで、テンポよくズリズリ引っ張られている姿や、大人の回転速度が速すぎてキャタピラーの中で子どもが1回転していたり、大きなお父さんの後をちょこちょこと着いていく可愛らしい姿など、「やっている側は本気」「見ている側は爆笑」という予想以上に面白さ満点の競技になりました。

ハート組の「抱っこ、おんぶ、肩車レース」は、保護者の方に体力を使っていただく競技になり、レースの勝敗では速さを求めながらも、のんびり好きなカードを取ろうとする子どもとの意識の差が微笑ましく現れた競技でした。

 ダイヤ・クローバー組は子どもも勝ち負けや、いかに早くゴールするかということを意識しているので、どの競技も大人の本気度も増し、白熱のレースが展開されていました。

 競技ルールの大人へのハンディは、子どもとの力の拮抗を想定していましたが、本番になると思ったより子どものスピードが速く、大人の激走は届かず、全て子どもチームの勝利という結果になりました。

 「あのハンディじゃ難しいなあ」と、ちょっと本気で悔しがる保護者の方のつぶやきも、その本気が子どもに全力でチャレンジする楽しさを感じさせただろうと思います。

 また、事前に参加希望者を募っての「お玉レース」は、たくさんの方にエントリーしていただき、昨年以上に盛り上がる競技になりました。卒園児の子どもたちも、難なくお玉からボールを落とさずに走ることができるようになっていて、月日の中での成長に目をみはりました。

 その他、ラジオ体操やメラダンス、できるかな体操も、日ごろの活動の中で子どもたちが楽しんでいることを、精一杯披露していた子どもの姿がありました。その堂々とした姿で、子どもたちの日常を知っていただく機会になったようにも思います。

 そして、レク運動会では初めての試み。職員で構成するエンカレッジ楽団の演奏で子どもたちが歌うというハーフタイムショウ??を行いました。

 楽団の演奏はつたないものでしたが、子どもたちの元気な歌声に助けられ、楽しく音楽を共有できた時間になりました。保護者の皆様、ご清聴ありがとうございました!

 まだまだ書ききれないエピソードが、レク運動会の準備活動からたくさんあります。

 それぞれの子どもが、どんなことを体験し、感じることができたのかは、ぜひお子さんのお話しをたくさん聞いていただきたいと思います。

 それらがみんな、子どもたちには経験になり、保育者にとっては、より子どもを知る機会になり、次の活動への道筋になっていくように思います。

 これからも、いっぱい遊んで、みんなで楽しんでいこうね!

 レクリエーション・運動会へのご参加、ありがとうございました。

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前期避難訓練

5月20日(金)に前期の避難訓練を実施しました。

今回の避難訓練は全体の避難訓練と3~5歳児の避難すべり台体験の大きな2つの目的で行いました。

ますは避難訓練です。給食室から火災が発生したという想定で避難します。

事前に火災が起きたときにはどのように避難するか(窓は閉める、カーテンは開ける、姿勢を低くしてハンカチ等で口を押えるな、逃げるときは「お・か・し・も」の約束を守るなど)を担任の先生と確認しました。

いよいよ訓練開始です。メガホンで「給食室から火災が発生しました。速やかに園庭に避難してください」とアナウンスが・・・。くるみ組のみんなは園庭で外遊びの途中でしたが、アナウンスが聞こえたら全員が一箇所に集まって口を押えて座って集合していました。 

0~2歳児はクラスで活動していましたが、火事のアナウンスを聞いて担任の指示で園庭に避難してきました。まだ避難訓練ということがよく理解できないので、いつもは来ない園庭に来ることを含め、いつもと違う雰囲気に戸惑っているようでした。

最後に副園長先生のお話です。

副園長先生からは逃げるときのお約束について確認です。

・お・・・おさない

・か・・・かけない(走らない)

・し・・・しゃべらない

・も・・・もどらない

子どもたちとこの4つの言葉の意味を確認しました。またこの言葉以外にも煙が出るから姿勢を低くして口を押えて避難することを聞いて実践している子どももいました。

災害は忘れたころにやってくるといいますが、備えあれば憂いなしです。

本番がこないように日ごろの管理はしっかりしながら、災害への準備を万全にして安全を守っていきます。

次はくるみ組の避難すべり台体験です。

クローバーの子どもたちは昨年一度体験していて、「前にやったよね」と覚えていました。

ハート、ダイヤの子どもたちはクラスのベランダにすべり台があるのは知っているようですが、普段ベランダに出ることはないので興味津々のようでした。

ただ、興味があってもこれは普段使うことが無い避難のためのすべり台。でも万が一の時はここを滑り降りるかも・・・。

ということで、今後も使わずに済むことを願いながら、その万が一のためにくるみ組で生活しているハートからクローバーまでの全員が体験してもらうことになりました。

まずは使用するときの注意事項を聞きます。

・指示をよく聞く

・ふざけない

・押さない

・降りた後の行動について

さて、それでは順番に体験してみます。

まずはハートの子どもたちから・・・。すべり台の上に立つと意外に高く感じるので、もしかしたら怖くて降りられない子がいるかも・・・と思っていましたが、全員が積極的にすべり台を降りていきました。

次はダイヤ・クローバーの子どもたちです。全員が上手に足と手でスピードをコントロールして下りていました。後で感想を聞いてみると「楽しかった~」との声が圧倒的でした。

万が一にも災害がおきて避難すべり台を使わなくてはならなくなったときは、楽しんでいる場合ではありませんが、今日、体験できたことが災害時の備えになるので、貴重な体験になったと思います。

避難訓練の終了後に消防設備業者による設備点検を行いました。毎年2回、前後期に保育園の消防設備(防災ブザー、消火器、避難誘導灯、避難路など)を点検しています。

非常警報設備のブザーやメガホンのブザーも実際鳴らしたので少しびっくりした子もいたかもしれませんが、災害時にきちんと動作するように点検してもらいました。

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令和3(2021)年度卒園式挨拶

 卒園おめでとうございます。

 卒園式の当日、子どもたちの張り切っている気持ちが通じたように、天気は雨上がりの合間のうららかな日和になりました。

 今年もコロナ感染防止の影響もあり、卒園児と保護者2名という限定で執り行わせていただくことになりましたが、子どもたちは緊張の中にもでわくわくしている様子でした。

 いつの間にか、たくさんのことを身に着けてたくましくなっていること、そのまっすぐな瞳が自信に満ちていることに、いつもながら圧倒される瞬間です。

 2年にわたり続くコロナ感染の現状や戦争。

 目まぐるしく変化する社会情勢、社会が不安定さ増していく中で卒園していくこの子たちは、これからを育つ子どもたちです。

 この子たちの未来を見据えて今、私たち大人がどんな子育てをしていくのかが、改めて問われているように感じます。

 今の状況を、大人が「20年前の常識」にとらわれず、考えのベースを変化させていく意識をもてるか?と、問われているということではないでしょうか。

 具体的にどういうことかというと、「成績が良ければよい就職ができ、安定した人生がある」というような、一定の条件さえ得れば安泰だという考えと、今、私たちが直面している現実とが一致していないということを見なければならないということなのだと思います。

 職業も細分化され、教科書を覚えて行うような知識だけでは、その役目はAIに委ねる方向へと、すでに産業の在り方が変化してきています。

 社会が多様性を増し、複雑化し、さらに変化のスピードが速くなれば、人間の生活も良くも悪くも変化していかざるを得ません。多様性は様々な可能性を尊重できる反面、起きる問題は複雑に絡み合い、困難な側面もあるでしょう。

 社会が解決困難な課題を内包している時代に成長していく子どもたちに、何を願い、子どもの育ちにどんな援助ができるのかを、私たち大人がしっかり考え、役割を果たせるようでありたいと思います。

 だからこそ私たちの保育にも、より具体的に子どもの育ちを見通す保育内容、保育の構成が求められていると思います。

 私は幼児期の育ちで大切にしていきたいことをいくつか考えています。

 1つは、粘り強い思考力。解決困難な問題に対峙していく場面が多いとなると、あきらめずに自ら考えようという気持ちが大事になります。

 思考や忍耐力は、それまでの育ちの中で、どのくらい考えてきたかで決まってきます。困難にあっても思考停止であきらめてしまうのではなく、まず「自分の精一杯で、できることを駆使して考えた」という経過の中で培われていく力です。

 もし、その時、思い通りに解決にいたらなくても、そこから学び、自分への信頼が持てることで、芯のようなたくましさが備わっていくでしょう。

 2つ目は、人と協同する力です。困難な課題ほど一人で解決することは難しいので、他者と協同して知恵を出し合うことが必要です。そのため、成長とともに対人関係への在り方も大事な力でしょう。

 3つ目は、新しいものを生み出す経験です。今までと同じようにできない局面に突き当たった場合に、その条件の中でどうできるかを考えださなければ前に進めません。今ある状況、条件の中でより良い方向を見出すことや、発想を転換し突破できる力とでも言いましょうか。

 そのどの力も、実際に経験をすることでしか獲得できないものばかりです。

 座学も大事ですが、幼児や小学生の児童期に経験学習をたくさんすることが、新しく求められる力を身に着けていく学びになっていくでしょう。

 保育園では、特に今年度、制限された環境の中で、いかに子どもたち自身が主体的な取り組みができる活動を保証できるのか。どのように、楽しく、子ども同士が互いの個性や力を発揮しやすい保育活動を実現するかが大きな課題でした。

 その中でも、展示や卒園式での発表でご覧いただけたように、日常の活動から子どもが能動的に取り組める活動を経験学習の機会になるように行うことができたのではないかと思います。

 また、生活に付随する食育活動も、給食職員がその専門性を生かしながら、保育と連携し、事前学習や調理実習を期ごとに行うことができました。

 その活動が子どもたちにとって、思い出とともに得た、知識や充実した経験値になっていることを示すかのように、晴れやかで力強い姿、大きく成長していることを私たち大人に見せてくれた卒園式だったと思います。

 きっといつまでも、みんなで経験したことを心と体が覚えているはず!

 そのキラキラした瞳に、むしろ勇気づけられたのは私たち大人ですね。

 改めて、卒園おめでとう!

 寂しくなるよ。でも、心からずっとずっとエールを送っています。

2022年3月19日 

園長 日下部樹江